top of page

【2026年5月最新動向】いよいよ本格稼働したGX-ETS(排出量取引制度)の概要

  • 4 日前
  • 読了時間: 5分

日本の脱炭素化と経済成長を両立させるための国家戦略「成長志向型カーボンプライシング構想」。その中核となる「GX-ETS(排出量取引制度)」が、2026年度からいよいよ本格稼働を迎えました。

4月から5月にかけて、経済産業省からは実務向けの詳細なマニュアルや登録確認機関の一覧が相次いで公表されるなど、制度の社会実装が急速に進んでいます。「自社は対象になるのか?」「これから具体的に何を準備すればいいのか?」

【2026年5月最新動向】本格稼働したGX-ETS(排出量取引制度)

本コラムでは、企業の環境・サステナビリティ担当者の皆様が今すぐ押さえるべき、最新の動向と実務のポイントをわかりやすく解説します。


1. そもそも「GX-ETS(排出量取引制度)」とは?

今回の本格稼働に伴い、まずは制度の基本をおさらいしておきましょう。

  • 対象となる企業

二酸化炭素(CO2)の直接排出量が、前年度までの3年度平均で「10万トン以上」の事業者が対象となります。

  • 基本的なメカニズム

政府が一定の基準に基づいて、制度対象の企業へ「排出枠(CO2を排出してもよい枠)」を割り当てます。企業は毎年度、自社が実際に排出した量(排出実績量)と同じだけの排出枠を、法令で定められた期限までに保有しなければなりません。

  • 過不足の調整(取引)

もし削減努力によって排出枠が余れば、他社に売却することができます。逆に、どうしても枠が足りなくなった場合は、他の事業者から排出枠を購入して穴埋めする必要があります。

単なる「規制」ではなく、環境投資をして排出量を減らした企業が経済的にも報われる、市場メカニズムを活かした仕組みです。


2. 【2026年4月〜5月最新】実務ルールと確認機関が続々公表

直近の経済産業省の発表で、実務の現場を大きく動かす重要なアップデートが2点ありました。

① 実務マニュアルがほぼ出揃う

4月から5月にかけて、具体的な算定・報告の手続きを定めたマニュアルが連続してリリースされました。特に、業界ごとの基準をベースにする「ベンチマーク方式による排出目標量の算定方法マニュアル」が公開され、企業が目標値を算出するためのルールが完全に固まりました。

② 「登録確認機関」の順次公表と第三者確認の義務化

企業が報告する「排出目標量」や「排出実績量」は、ただ提出すればよいわけではありません。国に登録された「登録確認機関」による事前の第三者確認を受けることが義務付けられています。

現在、一般財団法人日本品質保証機構(JQA)やソコテック・サーティフィケーション・ジャパンをはじめとする複数の機関が第1弾として公表されており、今後も順次追加される予定です。


3. 【注目】企業の明暗を分ける「ベンチマーク(BM)方式」の算定ルール

5月に詳細マニュアルが公開されたことで注目を集めているのが、鉄鋼、化学、紙パルプ、発電など20業種の特定事業活動に適用される「ベンチマーク(BM)方式」による目標設定です。


この方式の基本数式は以下の通りです。

排出目標量 = 基準活動量 × 各年度の目指すべき排出原単位


この掛け算の仕組みが、企業にとっての「ゲームのルール」を決めています。

  • 基準活動量

制度スタート直前の3か年度(2023〜2025年度)の「製品生産量」などの平均値です。この値は今後5年間、原則として「固定」されます。

  • 各年度の目指すべき排出原単位

製品を1トン作るあたり、CO2を何トン出していいかという「国が定めた目標値(ハードル)」です。このハードルは毎年高くなります(数値が小さくなります)。

初年度(2026年度)は業界内の「上位50%(平均的水準)」からスタートし、2030年度には「上位32.5%(かなり効率が良い水準)」へと、毎年均等に目標が引き下げられていきます。


💡 効率の良い企業が「得をする」仕組み

自社の現時点の製造効率(原単位)が、国の定める基準よりもすでに優秀な場合、最初から排出目標量に「余裕(余剰枠)」が生まれます。 この余った枠は市場で売却してキャッシュに変えることができるため、これまで環境投資を進めてきた企業がビジネスで圧倒的に有利になる仕組みになっています。


4. 「移行計画」が個社名入りで一般公表されるというインパクト

今回の制度で、企業にとって最大のブランドリスク(およびチャンス)となるのが「移行計画」の公表です。

対象企業は毎年度、自社がどのように脱炭素を進めていくかを示した「移行計画」を作成して国に提出する必要があります。そしてこの計画は、経済産業省や事業所管省庁のウェブサイト上で、「個社ごと(企業名入り)」に一般公表されることになっています。

つまり、投資家、取引先、消費者から「この企業の脱炭素戦略は本気か、実現可能性があるか」を常に直接チェックされる時代が始まったということです。


5. まとめ:排出量管理は「経営戦略」のフェーズへ

GX-ETSの本格稼働により、企業の温室効果ガス管理は「環境活動の報告」というボランティア的なフェーズを完全に脱し、「企業の財務や信用に直結する経営戦略・取引」のフェーズへと移行しました。

ルールを正しく理解し、客観的に評価されるデータを揃え、確実な移行計画を社内外にアナウンスできるかどうかが、これからの市場競争力を左右します。


貴社の脱炭素移行を伴走いたします

当社では、企業の脱炭素推進担当者様が直面する課題に対して、特化型AIが伴走支援を行っています。制度への対応に少しでも不安をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


 
 
 

コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。
bottom of page